コラム
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【第3回】「突然辞めた」は本当に突然か?
〜日常の会話の中にある“離職のサイン”に気づいていますか〜
こんにちは。KSN代表の今西英昭です。
これまでの連載では、制度より“信頼”、求人票より“伝え方と導線”が大切という視点で、人材定着のヒントをお届けしてきました。
今回は、「辞める前兆」=“離職のサイン” に注目します。
突然の退職は、本当に“突然”なのか?
人材定着の現場で多くの企業を支援してきた上田真士さんのお話をもとに、その見逃しがちなサインと対処法を探ります。
退職の9割は「前兆」があった
「突然、辞めたいと言われた…」
そう感じる経営者や上司の多くは、“気づかなかった”だけ だと上田さんは言います。
「実は、辞める人の多くは、数ヶ月前から“サイン”を出しています。
それは、欠勤や遅刻ではなく、“言葉”や“行動”の変化として現れています。」
離職サインの例:こんな変化に要注意
日常の中に潜む“気づきにくいサイン”には、以下のようなものがあります。
こうした小さな変化を、“どうせそのうち戻るだろう”と見過ごしてしまうと、気づいたときには退職届が出ていることも少なくありません。
上田式「1on1面談」で変化を拾う
離職サインに気づくには、「気軽に話せる関係性」と「定期的な対話の場」が必要です。
上田さんは、多くの企業に“月1回・15分の1on1面談”を提案しています。
「面談の目的は、“仕事の進捗確認”ではありません。
“最近どう?”という雑談から、心の状態を探ることが重要なんです。」
1on1で意識すべきポイント:
離職を「止める」ではなく、「早く気づく」ことが大切
一度「辞める」と心に決めた社員を引き留めるのは、実はとても難しいことです。
だからこそ、「辞めたい」と思い始める前に、気づけるかどうかが鍵です。
社員は、会社の制度よりも「自分のことを気にかけてくれる上司」に信頼を寄せます。
その信頼こそが、離職の引き金を緩めるブレーキになります。
【まとめ】KSN代表 今西英昭より
辞める人を責めるのではなく、
「なぜ、そこまで我慢させてしまったのか?」と自分に問うこと。
そして、「辞めたい」と言われる前に、気づき、対話を重ねること。
これが、これからの“人が辞めない組織づくり”の基本です。
上田さんの実践から見えてくるのは、制度より先に“人間関係の温度”を整える大切さです。
<次回予告>
【第4回】
キャリアが“見える”と、社員は辞めない。
評価制度=点数づけではない。“未来を示す仕組み”に変えていくヒントをお届けします。