コラム

【第4回】キャリアが“見える”と、社員は辞めない〜評価制度は“査定”ではなく、“未来を描く仕組み”に〜 ー上田真士先生インタビュー4回目

4キャリアが“見える”と、社員は辞めない

評価制度は“査定”ではなく、“未来を描く仕組み”に

こんにちは。経営者支援ネットワーク(KSN)代表の今西英昭です。

上田真士さんのインタビューをもとにお届けしてきた、
「辞めない組織づくり」シリーズも、いよいよ最終回です。

今回は、多くの企業が悩んでいる「評価制度」の活かし方。
“評価=点数をつけること”になっていませんか?
上田さんは、「評価制度は社員に“未来の道筋”を見せるための道具」だと語ります。

 評価制度が「機能しない」理由

せっかく評価制度を導入しても——

  • 点数やランクをつけて終わっている
  • 社員が何を基準に評価されたかわからない
  • 評価が給与や昇格に直結せず、納得感がない
  • 面談がただの“業務報告”で終わっている

…という状態では、社員の成長もモチベーションも育ちません。

上田さんはこう言います:

「評価制度は“人を測る”ものではなく、“人を育てる”ための仕組み。
それが社員に伝わっていないと、制度はむしろ逆効果になります。」

見直すべきは「評価の目的」

制度そのものではなく、“何のために評価するのか”という目的が大切です。

例えば、上田さんが関わったある企業では、
評価シートの項目をすべて「未来形の行動目標」に書き換えたそうです。

  • ×「顧客への対応が丁寧だった」
  • ○「顧客への対応で“自分なりの改善提案”をできたか?」

このように、「過去の行動を振り返る」よりも「未来への行動を導く」評価にすることで、
社員自身が“どう成長していくか”をイメージできるようになります。

 キャリアが“見える”仕掛けとは?

評価制度は、社員に「この会社でどう成長できるか」を見せるツールでもあります。

上田さんはこうした“キャリアの可視化”を提案しています:

  • 各等級・ポジションごとに「求められる役割」や「成長イメージ」を図で見せる
  • 「半年後・1年後・3年後にどんな姿になってほしいか」を面談で共有する
  • 会社としての“期待と応援”を明文化し、全体に開示する
  • 評価は「フィードバック」より「未来の会話」を主軸に

社員は、自分の“立ち位置”と“行き先”がわかると、安心して努力できるようになります。

まとめKSN代表 今西英昭より

人は、「今の待遇」ではなく「自分の未来像」で会社を選びます。
だからこそ、評価制度の目的は「点数」ではなく「道案内」であるべきです。

上田さんの言葉に、私はこういうメッセージを感じました。

「評価とは、社員の“未来に期待する行為”そのもの」

これまで全4回にわたってお届けしてきた“辞めない組織づくり”のヒント。
制度や仕組みの導入以上に大切なのは、
“人を信じ、期待し、伝え続ける姿勢” なのかもしれません。

 これまでの連載を振り返る

  • 【第1回】制度より信頼。「辞めない組織」は“想い”から始まる
  • 【第2回】求人票に応募が来ない理由は「備考欄」にあった
  • 【第3回】「突然辞めた」は本当に突然か?離職のサインを見逃すな
  • 【第4回】評価制度は未来を描く道しるべ。点数より成長を語れ