コラム

営業とお客様の“意識のギャップ”を埋めるには?

営業とお客様の“意識のギャップ”を埋めるには?

  1. 家づくりは「人生最大の買い物」

家づくりは、お客様にとって人生で一番大きな買い物です。
数十年にわたり住宅ローンを払い続ける大きな決断であり、家族の未来を左右する選択です。

本来であれば「夢が広がる」「楽しい」と感じるはずの時間。
しかし、現場で私が数多く見てきたのは――営業とお客様の“意識のギャップ”によって、その楽しさが不安やストレスに変わってしまうケースです。

  1. 営業とお客様の間にあるギャップ

お客様は「不安」と「期待」の中で商談に臨んでいます。

  • この家で本当に大丈夫だろうか?
  • 住宅ローンを払い続けていけるだろうか?
  • 家族にとって良い選択ができているだろうか?

一方で、営業は「売上目標」や「契約」という数字を背負いながら商談を進めています。
もちろんどちらも正しい姿勢ですが、ここで生じるのが“意識のギャップ”です。

営業が「説明は十分した」と思っても、お客様にとっては「まだ納得できていない」。
営業が「契約目前」と考えても、お客様は「もっと検討したい」と感じている。
このすれ違いが積み重なると、お互いにストレスが生まれ、最後は「しばらく検討します」で話が止まってしまいます。

  1. ギャップを埋める第一歩は「気持ちを引き出す」

営業がまずやるべきことは、“お客様の気持ちを引き出すこと”です。
家づくりはお客様にとって大きな決断。だからこそ、安心して進められるように「納得感(満足感)」を積み重ねる必要があります。

実際に現場で効果的だったのが、商談の最初に「前回の振り返り」を行うことです。

・前回どんな話をしましたか?

・そのとき、どう感じられましたか?

・不安に思うことはありますか?

たったこれだけでも、お客様は「自分の気持ちを聞いてくれている」と感じ、安心します。
安心感が信頼につながり、信頼が契約につながっていきます。

  1. 実際の現場からの気づき

私がサポートした工務店でも、当初は営業が「説明中心」で、お客様の声を聞く時間が十分に取られていませんでした。
その結果、商談の途中で止まる案件が多く、契約率も伸び悩んでいました。

そこで導入したのが「商談前の5分振り返り」。
営業担当者が必ずお客様に「前回の内容と気持ち」を確認するルールを設けたのです。

するとどうでしょう。

・お客様からの相談内容が増えた

・営業とお客様の間で安心感が生まれた

・「検討します」で止まるケースが減った

わずかな工夫でしたが、大きな成果につながりました。

  1. 信頼を築く営業のあり方

営業にとって大事なのは「契約を急ぐこと」ではありません。
むしろ「信頼を築くこと」です。

信頼があれば契約は自然に生まれますし、その後の家づくりもスムーズに進みます。
逆に信頼がなければ、契約は取れても後々の不満やトラブルにつながってしまいます。

営業は「売る人」ではなく「お客様の伴走者」であるべきです。
そのために必要なのは、説明よりも“聞く力”。
納得感を一緒に積み重ねながら、信頼関係を育てていく姿勢です。

まとめ

営業とお客様の間には、どうしても知識や意識のギャップがあります。
しかし、そのギャップを埋めるのは難しいことではありません。

・お客様の気持ちを丁寧に引き出すこと

・毎回、前回の振り返りをすること

・納得感を積み重ねて信頼を得ること

この小さな積み重ねが、「楽しい家づくり」へと導きます。

次回は「ヒアリング不足は信頼不足」をテーマにお届けします。