コラム
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ヒアリング不足は信頼不足 ― 営業の本質は「聞くこと」にある
住宅営業の現場でよく耳にする言葉に「検討してみます」があります。
なぜお客様は「検討します」で止まってしまうのでしょうか。
その理由の多くは、営業側の「ヒアリング不足」にあります。
初回面談で聞く情報は、多くの場合以下の通りです。
もちろん、これらは重要です。
しかし、これだけで「お客様がなぜ今、家を建てたいのか」を理解することはできません。
結果として、営業の提案は“表面的”なものに終わってしまい、お客様の心に響かないのです。
家を建てる理由は人それぞれ。
こうした「背景情報」こそが、お客様の“本当の理由”です。
この部分を聞き出さない限り、どれだけ立派なプランを提示しても、お客様の心には刺さらないのです。
多くの場合、お客様自身も「なぜ今家を建てたいのか」を明確に言葉にできていません。
営業の仕事は、その思いを引き出し、整理し、形にすることです。
お客様の潜在的な気持ちに寄り添いながら「実はこういう理由があったのですね」と言葉にしてあげることが、営業の本当の価値です。
私が関わった工務店では、ヒアリングシートを大幅に見直しました。
従来の基本情報に加えて、以下のような項目を追加したのです。
すると提案の仕方が大きく変わりました。
「家族でキャンプが好きだから、ウッドデッキを広めに」
「子どもが勉強しやすいようにリビングに学習スペースを」
具体的な暮らしを想像できる提案ができるようになり、お客様の満足度が格段に上がりました。
5. 信頼はヒアリングから生まれる
お客様にとって「自分の想いを分かってくれている」という安心感ほど心強いものはありません。
逆に、背景を聞かずに進めると「結局この営業は売りたいだけだ」と思われてしまい、信頼は生まれません。
営業は商品を売る仕事ではなく、「お客様の人生に寄り添う仕事」です。
そのための第一歩がヒアリングなのです。
まとめ
営業の現場で「検討します」が多いのは、ヒアリング不足が原因です。
基本情報だけでなく、お客様の背景にまで踏み込み、その想いを引き出すこと。
それが信頼を築き、契約につながります。
次回は「提案準備不足は“不信感”につながる」についてお伝えします。