コラム
コラム
メルマガでは、“損益分岐点”の大切さのお話をされました。
今回は、その具体的な中身を掘り下げます。
黒田先生によれば、事業承継の成否は「数字のスピード」と「精度」で決まるとのこと。
毎月、翌月中に正しい試算表を出し、利益と資金を両方でチェックする。
たったこれだけの仕組みがあるかどうかで、会社の未来は大きく変わります。
損益分岐点を超えた会社と、そうでない会社の違いとは?
経営の“見える化”がもたらす成果を、現場の声を交えてお聞きしました。
今西: 先生、財務が弱い企業はやはり多いですか?
黒田: 多いですね。全国的に見ても、財務基盤の弱い企業が大半です。特に中小企業では、借入が多く現金が少ない、過小資本の状態が珍しくありません。そのまま承継を進めようとしても、次の世代が引き継げない。だから私は「損益分岐点を越えることが、承継の第一歩」とお伝えしています。
今西: 具体的には、何をすれば損益分岐点を越えられるのでしょう?
黒田: まず、毎月「正しい試算表」を出すことです。翌月中に試算表を完成させ、分析し、振り返る。これを継続できる会社は、ほぼ例外なく財務が強くなります。
今西: なるほど、数字のスピードが経営のスピードを決めるということですね。
黒田: その通りです。数字が遅れれば、経営判断も遅れる。しかも、出てきた試算表の精度が低いケースも多い。例えば、在庫のズレや未払いの処理漏れがあると、利益が実態と違って見える。経営者が間違った数字で判断してしまうこともあります。
今西: 財務を整えることが、結果的に社内の意識も変えると。
黒田: ええ。数字がリアルタイムで見えると、社員も経営を“自分ごと”として考えるようになります。月次決算を正確に出すことは、経営者だけでなく、組織全体の意識改革でもあるんです。
今西: そう考えると、財務改善は単なる“会計”ではなく“経営改革”ですね。
黒田: まさにそうです。財務を整えることが、会社の文化を整えることにつながるんです。
今西コメント:
「数字を整えることが文化を変える」――。
黒田先生の言葉には、経営の本質が詰まっています。
承継の前に“財務の分岐点”を越えること。それが次世代にバトンを渡す第一歩です。