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部下の欠点は、削るものではなく、伸ばすもの〜藤本隆昭さんに聞く、人を育てる管理職の知恵〜

藤本隆昭さんインタビューシリーズ最終回のテーマは、
**「人を育てる管理職と、現役であり続ける力」**です。

藤本さんは、営業の現場で成果を上げた後、営業所長、支店長、支社長へと進まれました。

営業所では約15名。
支店では約100名。
支社では約250名規模の組織を率いた経験をお持ちです。

営業担当者として成果を出すことと、管理職として人を育て、組織を動かすことは違います。

では、管理職にとって大切なことは何か。

藤本さんに伺うと、まず出てきたのは、
「その人をよく知ること」
という言葉でした。

部下の性格、考え方、強み、弱み。
どのような言い方をすれば伝わるのか。
どこでつまずいているのか。
どんな支援が必要なのか。

それを知らずに、ただ指示や注意をしても、人はなかなか動きません。

藤本さんは、中間管理職を通じて現場を育てながら、必要に応じて自分が補うことを大切にされていました。

例えば、課長が部下に厳しく指導する場面がある。
その時、部下が反発しそうであれば、上位者としてフォローに入る。

「課長はあなたのことを思って言っている」
「ここを乗り越えれば成長できる」

そうした形で、厳しさがただの反発で終わらないように配慮されていたそうです。

ここに、藤本さんらしい人材育成の考え方があります。

その考え方をよく表しているのが、
「金平糖」のたとえ話です。

金平糖には、たくさんの角があります。

その角を見て、
「出っ張っているから削ってしまおう」
と考えると、金平糖そのものは小さくなってしまいます。

しかし、角と角の間にある隙間を埋めていけば、
金平糖はひと回り大きくなっていきます。

人も同じではないか、というお話です。

人には、それぞれくせがあります。
個性があります。
欠点のように見える部分もあります。

しかし、そのくせや欠点のすぐそばには、
必ず長所や可能性が見え隠れしています。

せっかちな人は、行動が早い人でもあります。
頑固な人は、信念を持っている人でもあります。
口下手な人は、誠実に考えている人かもしれません。
慎重すぎる人は、物事を丁寧に見る力を持っている人かもしれません。

管理職の役割は、その角を削って丸くすることではありません。

その人らしさを否定するのではなく、
足りない部分を補い、隙間を埋め、
その人の器を大きくしていくこと。

藤本さんは、そのような気持ちで部下と接することを心がけておられました。

これは、今の時代のマネジメントにも非常に大切な視点だと思います。

現在は、パワハラやメンタルヘルスへの配慮など、マネジメントの難しさが増しています。

昔のように、ただ厳しく言えばいいという時代ではありません。

一方で、ただ優しくするだけでも、人は育ちません。

大切なのは、相手の成長を本気で考えた関わり方です。

厳しいことを言うなら、その後のフォローまで考える。
注意するなら、相手が前に進めるように支える。
欠点を見るなら、そのそばにある長所も見る。
部下を動かす前に、まず部下を理解する。

これが、藤本さんのお話から感じた管理職の本質です。

そして、もう一つ印象的だったのが、藤本さんが86歳の現在も現役で活動を続けておられる理由です。

藤本さんは、現役を続けるために大切なこととして、まず**「体力」**を挙げられました。

健康でなければ動けない。
人に会いに行くこともできない。
だからこそ、日頃から健康には気をつけているとのことでした。

そしてもう一つが、好奇心です。

藤本さんは、30代、40代、70代など、幅広い世代の方と今も関わっておられます。

そのためには、相手と話ができるだけの知識や関心を持ち続ける必要があります。

訪問件数は若い頃より減ったそうですが、その分、1件1件の面談に向けて、相手に何が役立つかを考える時間を大切にされています。

「何を話せば興味を持ってもらえるか」
「どんな情報が相手のプラスになるか」
「自分が会うことで、相手にどんな価値を提供できるか」

この姿勢は、まさに営業の原点そのものです。

人と会うこと。
人の役に立つこと。
自分自身も学び続けること。
そして、人を理解し、育てようとすること。

それが、藤本さんの現役力を支えているのだと思います。

4回にわたって藤本さんのインタビューをご紹介してきました。

第1回では、営業マンは会社の代弁者であること。
第2回では、定期訪問と信頼関係の大切さ。
第3回では、これからの営業が変えるべきこと。
そして今回は、管理職として人を育てること、現役であり続ける力についてお伝えしました。

藤本さんのお話から一貫して感じるのは、
営業も管理職も、最後は**「人」に向き合う仕事**だということです。

商品や技術、営業手法は時代とともに変わります。

しかし、
人として信頼されること。
相手の役に立つこと。
自分自身を高め続けること。
人を理解し、育てようとすること。

これらは、時代が変わっても変えてはいけないものです。

藤本さんの歩みは、まさに
「変わらない力」
を教えてくれるものでした。

経営者、営業責任者、管理職、そして現場でお客様と向き合うすべての方にとって、改めて営業と組織づくりの原点を考えるきっかけになれば幸いです。