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住宅価格と金利の上昇で、お客様の判断はどう変わるのか
「2027年、地域密着工務店はどこへ向かうのか」
第2回からは、最初のテーマである「金利・建築費上昇時代の住宅提案」について考えます。
住宅価格を以前の水準に戻すことは難しい
住宅価格の上昇が続いています。
木材、鉄鋼、断熱材、住宅設備などの建築資材が値上がりし、円安の影響を受ける輸入資材の価格も上昇しています。
建設現場の人手不足によって、人件費や外注費も上昇しています。
工務店が努力して削減できる費用には限界があります。住宅の品質や性能を維持しながら、建築価格だけを以前の水準に戻すことは難しくなっています。
さらに、住宅ローン金利も上昇する方向にあります。
住宅価格が高い状態で金利が上がれば、同じ金額を借りても毎月の返済額や総返済額は増えます。
お客様は、住宅価格の上昇と金利の上昇という二つの負担に向き合うことになります。
お客様が感じている四つの不安
住宅購入を検討するお客様は、単に「価格が高い」と感じているだけではありません。
その背景には、主に四つの不安があります。
1.住宅ローンを返済し続けられるか
現在の収入では返済できても、将来も同じ収入が続くとは限りません。
出産、育児、転職、病気、親の介護などによって、働き方や世帯収入が変わる可能性があります。
2.教育費を確保できるか
子どもの進学時期には、住宅ローンの返済に加えて教育費の負担も大きくなります。
住宅にお金をかけすぎると、子どもの進路に影響する可能性があります。
3.修繕費を準備できるか
住宅は、建てた後も費用がかかります。
外壁、屋根、給湯器、水回り設備など、長く住むほど修繕や交換が必要になります。
4.老後の生活に余裕を残せるか
返済期間が長くなれば、退職後も住宅ローンが残る可能性があります。
住宅資金が増えることで、老後資金の準備が遅れることも考えられます。
「いくらで建てられるか」から「どう暮らし続けるか」へ
これまでの住宅営業では、建物の広さ、性能、デザイン、設備、価格などが提案の中心でした。
もちろん、これらは今後も重要です。
しかし、お客様が本当に知りたいのは、住宅を取得できるかどうかだけではありません。
その家で、家族が安心して暮らし続けられるかどうかです。
工務店にも、住宅を建てる時点だけでなく、購入後の暮らしまで考えた提案が求められます。
・金利が上昇した場合の返済額
・固定資産税や保険などの維持費
・将来必要になる修繕費
・教育費が増える時期の家計
・退職時点で残る住宅ローン
・将来の売却や住み替えの可能性
こうした情報を分かりやすく示すことで、お客様は自分たちに合った住宅予算を考えられるようになります。
値引きではなく、優先順位を一緒に考える
価格が高くなったからといって、工務店が利益を削って値引きするだけでは、経営を維持できません。
利益が不足すれば、住宅の品質、社員の処遇、完成後の点検やアフターサービスにも影響します。
必要なのは、お客様の予算の中で何を優先するのかを、一緒に整理することです。
例えば、
・希望する地域を広げて土地価格を抑える
・建物面積を見直す
・性能と設備の優先順位を決める
・将来追加できる設備は新築時に採用しない
・注文住宅だけでなく、規格住宅や建売住宅も比較する
・中古住宅の購入とリフォームも検討する
といった提案が考えられます。
お客様の希望をすべて削るのではありません。
家族が大切にしたい暮らしを確認し、その暮らしに必要なものを残すことが重要です。
地域密着工務店に求められる提案力
地域密着工務店は、地域の土地価格、生活環境、学校、交通事情などを理解しています。
また、完成後もお客様の近くで、点検や修繕に対応できます。
この強みを生かせば、住宅価格だけを比較する営業から、お客様の暮らし全体を考える提案へと変えることができます。
住宅市場が厳しくなるほど、お客様は住宅会社を慎重に選びます。
価格の安さだけではなく、
「自分たちの将来まで考えてくれた」
「不利なことも含めて説明してくれた」
「無理に契約を急がせなかった」
という安心感が、会社を選ぶ理由になります。
2027年に向けて地域密着工務店が高めるべきものは、安さを競う力ではなく、お客様が安心して決断できる提案力ではないでしょうか。
次回は、利用が増えている40年・50年ローンと変動金利の注意点について考えます。