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40年・50年ローンで、住宅は本当に買いやすくなるのか
「2027年、地域密着工務店はどこへ向かうのか」
第3回は、住宅価格が上昇する中で利用が増えている40年・50年ローンと、変動金利について考えます。
住宅ローンは、お客様が住宅を購入するために欠かせないものです。
一方、毎月の返済額だけを見て住宅ローンを選ぶと、将来の家計に大きな負担を残す可能性があります。
毎月返済額を抑えられる超長期ローン
住宅価格が上昇する中、従来の35年ローンでは毎月の返済額が高くなり、希望する住宅に手が届かないケースが増えています。
そこで選択肢となるのが、40年・50年という超長期の住宅ローンです。
返済期間を長くすると、毎月の返済額を抑えられます。同じ毎月返済額であれば、35年ローンより借入額を増やせる可能性もあります。
若い世代が早い時期に住宅を取得できることも、超長期ローンの利点です。
住宅価格が今後も上昇すると考えるお客様にとっては、購入時期を先送りせずに済むという考え方もあります。
しかし、毎月返済額が下がることと、住宅ローンの負担が軽くなることは同じではありません。
返済期間が長くなるほど総返済額は増える
返済期間が長くなれば、利息を支払う期間も長くなります。
その結果、毎月返済額を抑えられても、最終的な総返済額は増える可能性があります。
また、完済年齢にも注意が必要です。
30歳で50年ローンを組むと、完済年齢は80歳になります。定年後や年金生活に入ってからも、住宅ローンの返済が続く可能性があります。
住宅を購入した時点では共働きで十分な収入があっても、その状態が50年間続くとは限りません。
・出産や育児による休業や時短勤務
・転職や独立による収入の変化
・病気やけがによる休職
・親の介護
・定年後の収入減少
こうした変化が起きても、住宅ローンの返済は続きます。
変動金利は金利上昇後の負担を確認する
変動金利は、固定金利より契約当初の金利が低いことが多く、毎月返済額を抑えられるという利点があります。
しかし、将来金利が上昇すれば、利息負担や毎月返済額が増える可能性があります。
変動金利型の住宅ローンには、「5年ルール」や「125%ルール」が設けられている場合があります。
5年ルールは、金利が変わっても毎月返済額を5年間据え置く仕組みです。
125%ルールは、返済額を見直す際も、従来の返済額の125%を上限とする仕組みです。
これらは、毎月返済額の急激な上昇を抑えるためのものです。
ただし、金利の上昇によって増えた利息がなくなるわけではありません。
毎月返済額が変わらなくても、その中に占める利息の割合が増え、元金の減り方が遅くなる場合があります。
また、すべての変動金利型住宅ローンに、これらのルールが適用されるわけではありません。利用する金融機関や商品ごとの確認が必要です。
工務店が確認したい五つのポイント
住宅ローンを提案するときは、契約時の毎月返済額だけでなく、次の点もお客様と確認する必要があります。
1.金利が上昇した場合の返済額
金利が上昇した場合、毎月返済額や総返済額がどの程度変わるのかを試算します。
2.退職時点の住宅ローン残高
60歳や65歳の時点で、住宅ローンがいくら残っているのかを確認します。
3.教育費が増える時期との重なり
子どもの高校、大学進学時期と、住宅ローン返済の負担が重なっても対応できるかを考えます。
4.繰り上げ返済の計画
いつ、いくら繰り上げ返済するのか。その資金をどのように準備するのかを考えます。
5.売却時のローン残高
将来、住み替えや売却をする場合、売却価格で住宅ローンを完済できるかを確認します。
住宅ローンを「販売のための数字」にしない
毎月返済額を家賃と比較し、「今の家賃と同じ程度で家が買えます」と伝える住宅営業があります。
しかし、持ち家には、住宅ローン以外にも費用がかかります。
固定資産税、火災保険、地震保険、設備交換、外壁や屋根の修繕などを見込まなければなりません。
住宅ローンの返済額だけを示して契約を勧めれば、お客様は購入後に想定していなかった負担を抱えることになります。
地域密着工務店には、契約を取るための資金計画ではなく、お客様が安心して暮らし続けるための資金計画が求められます。
利点とリスクの両方を伝える
40年・50年ローンや変動金利が、すべてのお客様に適していないわけではありません。
若いうちから計画的に繰り上げ返済を行う、手元資金を残して将来に備える、収入や資産に十分な余裕があるなど、有効に活用できるケースもあります。
大切なのは、毎月返済額が低くなるという利点だけで判断しないことです。
将来の収入、教育費、老後資金、修繕費、住み替えまで含めて、お客様自身が納得して選択できるようにする必要があります。
住宅ローンを使って「今、買えるようにする」だけでなく、購入後も安心して暮らせる計画をつくる。
それが、2027年に向けて地域密着工務店が高めるべき資金提案力です。
次回は、「借りられる金額」と「安心して返せる金額」の違いについて考えます。