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「一生住む家」から「人生に合わせる住まい」へ
「2027年、地域密着工務店はどこへ向かうのか」
第5回からは、二つ目のテーマ「一生住む家から、人生に合わせる住まいへ」について考えます。
これまでの住宅購入では、一度家を建てたら、その家に生涯住み続けるという考え方が一般的でした。
結婚して家を建て、子どもを育て、住宅ローンを完済し、老後もその家で暮らす。
このような暮らし方を前提に、住宅の広さや間取りが決められてきました。
しかし、人の暮らし方や働き方は多様になっています。
一つの住宅に生涯住み続けることだけを前提にした家づくりでは、お客様の人生の変化に対応しにくくなっています。
人生の中で必要な住まいは変わる
30代の子育て世帯に必要な住宅と、子どもが独立した後の夫婦二人に必要な住宅は同じではありません。
人生の中では、さまざまな変化が起こります。
・結婚や出産によって家族が増える
・子どもの成長によって個室が必要になる
・子どもの独立によって使わない部屋が増える
・転職や独立によって働く場所が変わる
・在宅勤務によって仕事部屋が必要になる
・親との同居や介護が必要になる
・高齢になり、階段や住宅の維持が負担になる
家族構成や働き方が変われば、必要な部屋数、住宅の広さ、立地条件も変わります。
住宅を購入した時点では最適だった家が、20年後、30年後も最適であるとは限りません。
若い世代に広がる「都度最適」
若い世代を中心に、その時々の暮らしに合った住宅を選ぶ「都度最適」という考え方が広がっています。
住宅を購入しても、必ずその家に生涯住み続けるとは考えません。
家族構成、仕事、収入、年齢に合わせて、
・より広い住宅に住み替える
・子どもの独立後に小さな住宅へ移る
・転勤や転職に合わせて住宅を売却する
・自宅を貸して別の地域に住む
・高齢期に生活しやすい場所へ移る
といった選択肢を持ちます。
住宅は、人生の最終目的ではなく、希望する暮らしを実現するための手段と考えられるようになっています。
家づくりの段階から将来の変化を考える
将来の住み替えや売却を考えるのであれば、住宅を建てる段階から準備しておく必要があります。
例えば、次のような視点です。
間取りを変更しやすいか
子ども部屋を将来一つの部屋に戻す、1階だけでも生活できるようにするなど、家族構成の変化に対応できる間取りを考えます。
修繕しながら長く使えるか
外壁、屋根、設備などを点検しやすく、必要な部分を交換しながら長く使える住宅にします。
高齢になっても暮らしやすいか
段差、階段、廊下の幅、寝室と水回りの位置など、将来の身体の変化も考えます。
売却や賃貸がしやすいか
建物の性能だけでなく、地域の利便性、周辺環境、一般的に使いやすい間取りなども、将来の価値に影響します。
お客様が希望する個性を大切にしながら、将来ほかの人も使いやすい住宅にする視点が必要です。
工務店の役割は引き渡し後も続く
住宅を人生の変化に合わせて見直す場合、工務店とお客様の関係は、建物の引き渡しで終わりません。
定期点検、修繕、間取り変更、断熱改修、バリアフリー化、売却前のリフォームなど、長い期間にわたって支援する機会があります。
地域密着工務店は、お客様の近くで、家族の変化と住宅の状態を見守ることができます。
「家を建てた会社」としてだけでなく、「暮らしの変化を相談できる会社」になることが、これからの役割です。
住み替えは家づくりの失敗ではない
日本では、家を建てたら最後まで住み続けることが理想と考えられてきました。
そのため、住宅を売る、貸す、住み替えることに、後ろ向きな印象を持つ人もいます。
しかし、住み替えは家づくりの失敗ではありません。
家族の暮らし方が変わり、それに合った住宅を選び直すことは、自然な判断です。
重要なのは、必要になったときに売る、貸す、直すという選択ができる状態をつくっておくことです。
適切な点検や修繕を続け、住宅の履歴を残しておくことも、将来の選択肢を広げます。
2027年に向けて工務店が考えたいこと
これからの家づくりでは、現在のお客様の希望だけでなく、10年後、20年後の変化も考える必要があります。
・家族構成が変わっても使いやすいか
・修繕しながら長く使えるか
・高齢になっても安全に暮らせるか
・必要になったときに売却や賃貸ができるか
・工務店が完成後も継続して支援できるか
住宅を「完成した商品」として考えるのではなく、お客様の人生に合わせて育て、見直していくものとして考える。
そのためには、工務店も新築を建てる技術だけでなく、点検、修繕、リフォーム、住み替えまで支援する力を高めなければなりません。
「一生住む家」だけを提案する時代から、「人生に合わせられる住まい」を提案する時代へ。
この変化を捉えることが、2027年に向けた地域密着工務店の新しい方向になります。
次回は、住宅を建てた後に必要となる維持費と、長期的な修繕計画について考えます。